CEDEC2008 2日目の感想

ゲームというビジネス、ビジネスというゲーム

非常にためになった講演でした。とりあえず開発者は全員聞いた方が良いと思いました。
矛盾を解消できれば絶対に良いものが出来る。当然と言えば当然ですが、矛盾は絶対に両方を満たすことはできない。しかし、それを諦めずに矛盾を追求していき溝を埋める事が大切という話でした。(諦めたらそこで試合終了ですよ・・・!)
矛盾の例として、「優しくて頼りがいのある人が好き」について語りましたが、それは置いといて、経営と開発者のベクトルの矛盾について語っていました。
会社が沈んでいると、経営はリスク回避のために制作の8割を続編へ、2割を新規(と言っても建前上)でやれと言うが、Capcomはその逆をやったとのこと。その理由として、優秀な人、つまりヒット作を生み出せる人ほど新規タイトルをやりたがる傾向があるのに、続編ばっかりつくって開発者は疲労するから。
また、リスクを恐れずに”無理”という言葉はなるべく排除する。未来に絶対的なことは保証できないが、経営は保証を求めるのでウソをつけばいい。「これ、売れるの?」って言われたときに「わかりません」なんて言ったら不安になるだけ。そもそも自信があったら売れると思うはず。
また、ゲーム業界をサッカーの試合に例えると、日本vsブラジル戦で0:3で負けている時に、「これ以上点をやるな、8人でディフェンスをしろ」という命令は出さない。守っても勝てないので一か八かで「8人で攻撃しろ」という命令を出す。反対に3:0で勝っている時に「8人DF」の命令を出す監督もバカとのこと。攻撃して4点目を狙えと。というのも、これは理論的に考えると、「8人でDFにすると、45分間全て守りの時間になる。これはブラジルの攻撃を45分間受け続けなければならない。攻撃が入れば45分のうち何割かは攻撃になるので、45分よりも短い時間を守ることになる。45分もブラジルの攻撃を凌ぐのは大変。攻撃は最大の防御なり」という事らしい。
今の日本ゲーム業界が世界と比べて0:3で負けている状況なのに、みんな守りに入っている。それじゃ勝てるわけがない。と。
そして、ゲーム業界の株価をみて経営者の気持ちを知ろう。自分たちの行動がどう反映されているかが分かります。でも、任天堂だけは見ても参考にならないので絶対に見ちゃダメだっ!とのこと。

女性ががんばる新しいゲーム開発+α in 「99のなみだ」

次世代向けハードの開発を3年かけてやっていたが、突然の開発中止で疲れちゃって、家に引きこもって「なんか癒されたいなぁー」というのが発端らしい。
没入しやすい性格なので、聞いていて涙が出そうでした(ぉぃ)。
喜怒哀楽でストレス解消をテーマにしたかったが、客観的なデータや裏付けが欲しかったので、早稲田大学との産学協働プロジェクトとなった。学術的に、どうやったら前向きになれるか、どうやって喜怒哀楽をさせるのか、「笑い、泣き、イルカを見る」どれが効果的かを客観的に判断する。そして泣くとすっきりするというところに目をつけ、”泣く”をテーマに焦点を絞った。
涙には3種類あり、「基礎」「反射」「情動」の涙があるそうです。その中でも、情動の涙はストレス物質が多く含まれており、泣けばすっきりするのは、涙によって体内のストレス物質が流れてくれるからと考えることができる。
アンケートを実施した結果、男性は「家族、友情、恋愛」の順に、女性は「家族、恋愛、友情」の順に泣くことが多く、また男性はポジティブな泣きを、女性はネガティブな泣きをする傾向がある。感動させる要素を「人物」「状況」「展開」に分けラベリング作業を、2ヶ月で170本の泣ける話(ショートストーリー)を収集。(製品には207話収録されている)。
サウンドに関しては限られた曲数で使い回し感をなくしたかったため、こちらも曲を「Aメロ(10秒、20秒、60秒)」「Bメロ(10秒、20秒、60秒)」「サビ」などに分けそれをつなぎ合わせるようなシステムを作成。
パブリシティに関しては、雑誌やフリーペーパーが50媒体、TVやラジオ、新聞が15媒体。
新機軸な製品に関しては、取材は向こうからやってくる。
タイアップにより媒体の幅は確実に広がる。
女性クリエイターはまだまだめずらしい。
新聞記事を獲得できると、パブリシティが広がりやすい。(ユーザーにはTVとかが良いけど、新聞だとパブリシティが広がる)(遠回りだけど)
とのこと。

「METAL GEAR SOLID 4」に使われた技術等の紹介

いろいろメモったけれど、半分くらいしか理解できなかったので割愛。

5年後のゲーム開発現場を考える ~ゲーム会社技術開発の現場から2~

パネルディスカッションだが、ノートパソコンを無線LANに接続すると話している内容に対してリアルタイムでツッコミができるシステムが用意されており、「そのとおり」「うーん・・ちがくね?」という反応を出すことができ、またコメントを入力するとニコニコ動画風にプロジェクターに映し出されるという、なんとも面白い試みが行われていました。これ、全ての講演で標準化したほうが良いと思います。
自己紹介を見て思ったのは、みんな古い機械からいじってるなぁと・・。正直生まれてないし!! それはさておき、安全な発言が多かった気がします。もっと無責任な発言をしても良いと思いました。

ヴォーカロイド技術に見る音声合成

ヴォーカロイドエンジンに関する話と、初音ミクに関する話の二部構成。
肝心なエンジン部分の話でウトウトしてしまい・・・聞きたいところが聞けなかった!! Σ(゚д゚lll)ガーン
人が歌う時は感情を込めて歌うが、感情によって当然歌声は変わるわけだけど、そこに関してどういう取り組みをしていくのか質問したかった。。(講演終わった後も人が多すぎて、とても質問できる状況ではなかった)

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